今回はワインの販売価格を決定する上で重要な仕入れ原価+α(取引に紐づかない一般管理費的なものは含まれていません)について書きたいと思います。
以前どこかで、「日本での輸入ワインの価格は現地で購入する価格の2〜3倍」と聞いたことがあったのですが(ソース不明、記憶曖昧^^;)、自分でワインを輸入してみるとそのコスト構造が理解できました。コスト構造は輸入する会社ごとに大きく異なるかと思いますので、あくまで円安のタイミングで輸入した「当社の今回の輸入の場合」ということでご理解ください。
早速結論から!2/3がワイン代
今回私が初回輸入した際の結果はずはりこのような内訳でした。

ワイナリーに支払うワイン代がコストの2/3を占めており、次に大きい費用項目は海上輸送費と決済手数料(ECサイトを経由してご購入いただく場合、必ず発生します)となっています。
今回は159円/ユーロのタイミングでの輸入となり、ワイン代(ユーロ建て)と海上輸送費(費目ごとに請求通貨が異なるものの、ほとんどがユーロ建て)が大きな打撃を受けております。なお、海上輸送費には、万が一海上輸送中に何かがあった場合に備えての保険料も含まれます。
税金は、酒税と輸入消費税・地方消費税がかかります。酒税はワインの場合2023年9月までは1リットル当たり90円。酒税法が改正され、2023年10月からは10円アップして1リットル当たり100円になります。今回の輸入手続きは2023年9月中に完了できたため、ぎりぎり改正前の税額負担となりました。
輸入消費税・地方消費税は、ワイン代のみならず輸送費や酒税も含めた合計金額に税率(10%)をかけて計算されます。なお、EU加盟国であるギリシャからの輸入ワインに関しては、EPAのおかげで関税はかかりません。
外部倉庫保管コストや梱包資材、出荷手数料は、ワインを定温保管〜出荷まで請け負ってくださっている倉庫会社への支払い分です。保管料は月額あたり定額のものに加え、毎月1本あたりいくら、という形で計算されます。上記に含んでいるのは4か月程度の保管料のため、ワインの保管期間が長くなればこのコストの割合は増えます。梱包資材(段ボール)コストや出荷手数料は、出荷ごとに発生します。
なお、お客さまには別途送料をご負担いただいていますので、倉庫〜お客さまのもとへの送料は上記に含まれていません。Amazonや楽天で商品を購入する際には送料無料であることがほとんどだと思うので、最近は送料が別途発生することに抵抗がある方も増えてきているのではないでしょうか(私自身もそうです‥‥笑)。そのため、送料込みの価格に設定しようかとも考えたのですが、よく考えたら同じこと。Amazonや楽天で送料無料でも、実際には購入価格に送料が含まれているわけですよね。
今回は価格帯がそれぞれ異なるワインを7種類輸入しており、それぞれ輸入した本数も異なります。留意点として、上記は7種類の輸入ワイン関連のコストの総額を内訳にしたものであり、実際にワインごとに計算するとまた少し変わってきます。
今は、利益よりも想い
販売価格を決めるにあたっては、固定費分を多少カバーするために、上記で計算したコストに対してうすーく利益を乗せて販売価格を設定しています。実際には上記のような取引に直接紐づくような費用に加え、会社運営に当たっての費用として、例えばレンタルサーバー、会計ソフト、Google Workspace(会社のメール等のインフラ)、O365やウイルスバスターのライセンス料に加え、(利益が出ていなくても)法人住民税も発生します。また、設立初年度である今年はそれ以外にも創立費・開業費も発生しています。
本来はそれ以外にも人件費もかかってくるところですが、私の場合にはこのワイン販売で生計を立てているわけではないため、人件費は乗せていません。
当面は赤字覚悟、ただ、日本市場にこれから継続的にもっと多くのギリシャワインを提供できるようになるためにも赤字垂れ流しでずっと運営するわけにもいかないため、これから努力して販売数量を増やしていければと思っているところです。
コスト削減に向けた課題
もっと手に取っていただきやすい価格で販売するために、次回以降の輸入ではとにかく物量を増やすことができればと思っています。初回の輸入は1パレット(672本)でしたが、物量が増えればワイン代の次に大部分を占めている海上輸送のコストが少し割安になります。(もちろん、トラック・コンテナともに定温輸送(リーファー)を徹底すること等、品質に直結する部分は高くつくとしても妥協できません!)
あとは為替による部分が大きいのですが、この規模の零細会社では為替リスクヘッジも困難なのでどうにか円高になってくれないかと祈ることしかできません。。笑
物量を増やすべく、少しでも多くの方に知ってもらって気に入ってもらうこと、これに尽きますね。
来年は試飲会やギリシャワイン会等のイベントも企画して参りたいと思っていますので、ぜひ皆さまよろしくお願いいたします。